これはツバメが教えてくれたことだけれど、遠くの海で一人のミグラントが亡くなったらしい。
森に辿り着けず、海に迷い込んでしまったミグラント。
そんなミグラントに鳥と魚が好意を寄せた。
日に日に衰弱するミグラントを助けたくて、鳥は木苺のジュースを海に運んだ。
「これは植物の血の色なの?」
そう聞くミグラントに魚はこう答えた。
「それはミラが溶けた色です」
ミグラントは春風に乗れなくなりそれでも森への憧れは消えることなく
魚と二人広い海を泳いでいったという。
僕は小脇の瓶を揺らし、遠くの海に思いを馳せた